ゾロアスター教ってなんだ
前回、言語の誕生から、時間の概念の誕生、宗教的思想の原点を学んだ。
第2章は、世界最古の宗教についてである。
人類初の世界宗教は「ゾロアスター教」。なんとなく名前は聞いたことがある気がするが、それ以外には何も知らないに等しいので、じっくりいきたい。
ゾロアスター教は、”人類初の世界宗教”と呼ばれているように、世界の広範囲に広まった宗教の中で最古だ。BC1000年頃に古代ペルシャで生まれ、のちに国教化されたという。創始者はザラシュトラという人。
「古代ペルシャ」は、今のイラン北東部のことを指すらしい。ペルシャ猫、ペルシャ絨毯、ペルシャ湾など、「ペルシャ」という地名はよく聞くけど、今のどこなのか曖昧だったので確認できた。
ゾロアスター教は、古代ペルシャから中央アジアを経由して中国に広がっていった。
それほど有名ではないゾロアスター教が、1章分使って解説されているのは、その後に生まれた宗教にも強く影響を与えているからだ。
ゾロアスター教の教えの特徴は3つ。
②守護霊と洗礼
③火の信仰
今は、「天地創造」から「最後の審判」の間の12000年の間にある。
つまり、世界の始まりと終わりの間の期間が「現在」であり、そこでは善の七神と悪の七神が、最後の審判に向けて常に争っている。
だから、世界は善と悪が混合しているのだ、という考え方。
②守護霊と洗礼
守護霊→生きる人間を守る精霊(フラワシ)。
洗礼→ゾロアスター教には入信の儀式(ナオジョテ)がある。
③火の信仰
ペルシャがあるのは石油の産地・中東。頻繁に自然発火が起こる環境で、雨が降っても多少なことでは消えないことから「永遠の火」として畏れるように。
世界には善悪が混ざり合っているという考え方は、神=善ですべて神が救ってくれると考えるキリスト教の一神教よりも、自然な考え方であるように思う。
守護霊はその後の宗教との関連は分からないが、今もある考え方だし、洗礼というのは宗教を宗教足らしめるもの(わざわざこんな儀式を受けるのだからその教えは正しいに違いないと思い込む)な感じがする。
ゾロアスター教はその要素をすでに備えていたのだ。
また、自然発火が信仰につながったというのは、石油の産地ならではの特性が表れていて面白い。なるほどなあ。
この中東の地から、のちにユダヤ教、キリスト教、イスラム教という現代社会で世界50%超の信者を持つ宗教が生まれた。
そしてそれらは、ゾロアスター教の影響を受けている。
ちなみに、ここで世界の宗教の大分類を書き残しておく。
◯インド宗教:ヒンドゥー教・仏教
こうやって書いてみるとわかりやすい。これ以外に土着の宗教は無数にあるのだろうけど、世界的に信者が多かったり、世界史に影響力のある宗教がこれらだ。
とはいえ、セム的一神教というのは初めて聞いたな。
セム族から始まる宗教のことらしい。
セム族のアブラハムという人がいた。唯一神ヤハウェは、彼を人類救済の預言者として選んだ。そのことから、アブラハムは「信仰の父」と呼ばれ、ユダヤ人の祖とされている。へぇー。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はそれぞれバージョン1.0、2.0、3.0のような感じでつながっていて(たぶん厳密には違うけど)、ヤハウェの存在など共通項がたくさんあるというのはYouTube大学でも学んだ。
ざっくりとした理解だが、世界最古の宗教を知れた。
とはいえ、まだBC1000年頃。
キリスト教が生まれるまでまだ1000年以上あるということ。
でも、今から3000年前にあった、宗教という目に見えないもののことを知れるというのはすごいな。資料とか、どうやって見つけて解読しているんだろう。想像からの創造である可能性も十分あるよな。
個人的には、こうして3000年前の人間生活の様子がわかる証拠がたくさんあるのに、2000年程度しか歴史がない神のストーリーだけを今もなお信じて生きることには、あまり意味がないように感じる。
こうした思いは、自然科学が発展して、神の物語に矛盾が生じた近世以降、多くの人が感じたものなのかもしれない。現代の人たちは、いろいろと折り合いをつけながら信仰しているのかも。
ということで目次を見ると、次からはいよいよ、よく知られた哲学が出てくるようだ。
楽しみに、また次回。
※参考図書