きてつのブログ

30代初学者が哲学を語れるようになるまでの勉強記

プラトンの2つの偉業と1つの提案

第4章の続き。

今日は、ソクラテスの弟子・プラトンについて。

 

プラトン(BC427~347)

ソクラテスと違って、著作がたくさん残っているらしい。

本名は「アリストクレス」。アリストテレスと似すぎてる。

通称がプラトンでよかった。

 

アリストテレスとは41歳差だが、ラファエロの「アテナイの学堂」の中央に2人が並んで話している様子が描かれている。

 

また、

「西洋のすべての哲学は、プラトン哲学への脚注にすぎない」

(アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド

 と言われているほどの存在だ。

 

そこまで言わしめるプラトンとはいったい何をした人なのか。

代表的なものは「イデア論」と「アカデメイア」だ。

そしてこの2つは、ピュタゴラス教団の影響を受けているという。

どういうことか。

 

イデア論

イデアというのは、ものごとの本質となる観念。

それは天上にあるとされ、地上の実在と対になっている。

 

天上のイデア世界↔地上の実在世界

これは二元論であり、輪廻転生の思想も含まれている。

 

ピュタゴラス教団もこの両者の特性を持っていたという。

 

ちなみに、イデアは「idea」と書くが、英語の「idea」にギリシャ語のイデア、つまり「観念」の意味はない。(英語でイデアにあたる語は「form」)

今まで「アイデア(英語のidea)」という言葉の由来がイデアだと思っていたが、意味的には違うものになっているのか。ややこしいな。

まあ、これはそこまで重要でもないので次に進みたい。

 

アカデメイア

900年続いた学園。これは「アカデミー」の語源で間違いないだろう。書いてないけど。

プラトンはこの学園で、天文学・生物学・数学・政治学・哲学など、幅広く学べるようにした。

指導方法は主に「対話」「問答」

ソクラテスがやっていた哲学のスタイルを踏襲しているといえる。

 

プラトンは、アカデメイアに著作を残していたから、その多くがきれいに保存されることになった。

代表的著作は『国家』と『法律』。

その中で、政治形態についても持論を展開していた。

 

それまでに存在した政治形態は2パターンに2つずつの計4つ。

それぞれ何によってリーダーが決まるかが異なる。

 

①王政:血統

②僭主政:実力

③貴族政:身分

④寡頭政:実力のある小集団

 

このうち、①②は支配者が1人であるパターン、③④は支配者が複数(少数)であるパターンだ。

 

プラトンはここに、5つ目の政治形態を提案した。

⑤民主政だ。

多数の人間によって支配するスタイルである。

また、民主政だけでは不十分で、哲人政治を唱えた。

哲学者、つまり賢い人たちの会議によって決めるということだ。

 

「民主政+哲人政治」というハイブリッド型政治が理想であるとしたのだ。

 

これ、今の感覚でとらえると「ふーん」という感じだが、よく考えると、紀元前5世紀の主張なのだ。

2500年ほど前に、4パターンの政治形態を並べて比較し、5つ目として「民主政治がいいよー」と言っていたわけだ。

すごいことだと思う。

 

 

これが当時としては革新的だったからこそ、きちんと残っているし、こうしてのちの書物で紹介されているんだろう。

哲学の難しいところは、哲学者たちが言っていることが、今では常識というか、当たり前のことになりすぎて、「だから何?」となりがちなところだ。

それが当時としていかに革新的な発明・発想だったのかを考えないと、その重要性に気づけない。

 

哲学の歴史を学ぶことは、人間の思考の歴史をたどることでもある。

今の常識がどのように形成されてきたのか、しっかりたどっていこう。

 

次回は、アリストテレスについて。

 

※参考テキスト

www.amazon.co.jp